アトピーの対策としてメディアでも取り上げられることが多いヨーグルト。しかし、本当にアトピーに効くヨーグルトはあるのでしょうか?アトピーに悩んでいる方にアトピーとヨーグルトに関する正しい情報を届けると共に、今話題の乳酸菌の効能についてもとことん掘り下げていきます。
概要
アトピーとヨーグルトの関係
結論から先にいってしまうと、ヨーグルトが必ずしもアトピーに効くとは限りません。
では、どうしてヨーグルトがアトピーなどのアレルギー症状に効果があるとしてメディアで取り上げられることが多いのでしょうか?
これは、アトピーなどのアレルギー症状が免疫機能の異常によって起こることが関係しています。アトピーを発症するメカニズムはとても複雑で、遺伝や食生活、ストレス、皮膚の状態など様々なものが関係しているとされ、はっきりとした原因が特定されておらず、根本的な治療法はありません。
しかし、アトピーなどのアレルギー症状を発症するのは、外部からアレルゲンが侵入しそのアレルゲンに対して免疫が過剰に反応しているとき、つまり、免疫機能に異常が起きているときです。人間の免疫細胞の6割以上が腸内に集中して存在していることから、人間の免疫機能を司っているとされる「腸」。腸内環境とアトピーには深い関係があると考えられています。
アトピーと腸内環境について
アトピーの症状は、アレルゲンに対して免疫が過剰に反応して結果、かゆみなどの症状につながっていることが多いです。アレルゲンに対して免疫が過剰に反応しやすい体質は「アレルギー体質」などと呼ばれることもあります。このアレルギー体質は、遺伝も原因の一つとされていますが、食生活やストレスによって腸内環境が悪化していることも原因とされています。
腸内環境の悪化がアトピーの原因とされる理由は、「大人アトピーの増加」です。幼少期に発症していたアトピーが、成長とともに免疫力がつきおさまっていたのが、ストレスや喫煙、食生活によって大人になってから再びアトピーの症状が出るという方が増えています。また、子供の頃にはアトピーと無縁だったにもかかわらず、大人になってアトピーになる方も。
腸内には善玉菌と悪玉菌と日和見菌という腸内細菌が共存しています。名前からもわかるように、善玉菌は良い影響をもたらし、悪玉菌は増えすぎると悪い影響をもたらします。そして、日和見菌は腸内で優勢な菌の影響を受けます。これらの菌の理想的なバランスは、「善玉:悪玉:日和見=2:1:7」とされています。腸内環境が悪化すると悪玉菌が増え、悪い影響をもたらし免疫機能を低下させてしまいます。
そこで、必要となるのが善玉菌の一種である「乳酸菌」です。乳酸菌は、腸内で善玉菌の働きを助けて腸内環境を良くしてくれます。そんな乳酸菌を豊富に含んでいるヨーグルトだから、アトピーに効くのです。
でもそれだと、冒頭にお伝えしていた結論「ヨーグルトが必ずしもアトピーに効くとは限らない」にはなりませんよね。それについては次で詳しく説明していきます。
乳酸菌とアトピーについて
実際にアトピーに効果があるのはヨーグルトではなく乳酸菌です。そして、ヨーグルトの種類によって含まれている乳酸菌の種類は異なります。アトピーに効くとされている乳酸菌の代表的な効果は、
- 腸内環境の改善
- 腸内環境の改善による免疫機能の向上
- 腸内環境の改善による心身の安定
などがあります。これらはすべての乳酸菌に期待される効果ですが、基本的には腸内環境が改善されてから徐々に得られていく効果になので、効果を実感するまでには長期的に続けていく必要があります。また、乳酸菌にはそれぞれ個性があり、腸内に棲む細菌との相性によっては効果が出やすい人と効果が出にくい人がいます。そのため、少しでも早く効果を実感するためには、自分と相性のいい乳酸菌を見つける必要があります。
これが、「ヨーグルトが必ずしもアトピーに効くとは限らない」という結論の理由です。
さらに、ヨーグルトにはアトピーに効くどころか、アトピーを悪化させてしまう可能性もあると考えれらています。
ヨーグルトがアトピー悪化の原因に!?
ヨーグルトを摂取することでアトピーが悪化すると考えれれている理由について詳しく見ていきましょう。
●ヨーグルトの「乳脂肪分」
そもそも、乳アレルギーを持っている方は、乳脂肪そのものがアレルギー症状を引き起こしてしまいます。
また、ヨーグルトは、牛乳を乳酸発酵させて作られているため、乳糖が含まています。そして、日本人の約8割は、腸が乳糖をうまく消化吸収できない「乳糖不耐症」であると言われています。そのため、ヨーグルトを食べたときに、ヨーグルトの乳糖を十分に消化できず、乳糖が腸管に溜まり腸内環境を悪化してしまう原因になります。
そして、ちょっと専門的なことになりますが、乳脂肪には女性ホルモンの一種であるプロゲステロンが多量に含まれています。そのプロゲステロンによって、アレルギーに反応するIgE抗体を産生する免疫細胞である「Th2細胞」が増え、アレルギー症状を悪化させてしまいます。 特に、男性の方がこの影響を受けやすいです。
●ヨーグルトの「カゼイン」
カゼインとは、牛乳や母乳などに含まれるタンパク質のことです。牛乳に含まれるカゼインがにゅんさんによって固まることでヨーグルトができます。この、ヨーグルトに含まれるこのカゼインは、腸で分解されにくく、腸に炎症を引き起こす原因となります。腸に炎症が起こると、栄養を吸収する腸壁が大きくなり、本来は吸収されない未消化のタンパク質までもが腸壁から吸収され、それが血流に乗って全身にいきわたることでアトピーの炎症が悪化したり、アレルギーが引き起こされます。
●皮膚の栄養素「ビオチン」の減少
アトピーの治療薬にも使われていることが多いビオチン。ビオチンは、ビタミンB群の一種で、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。またビオチンには、アレルギーによるかゆみの原因物質であるヒスタミンを体外に排出する作用があります。アトピーの人は、血液中のビオチンの数値が正常な人の基準値よりも低いという研究結果もあります。
たくさんある乳酸菌の中で「フェカリス菌」が、このビオチンを食べてしまいます。ただし、そうなるのは、生きたフェカリス菌を大量に摂取した場合のみで、ヨーグルトの乳酸菌のほとんどは腸に届くまでに、胃酸によって死んでしまうのであまり心配はいりません。しかし、このように乳酸菌の種類や状態によっては、乳酸菌の働きでアトピーを悪化させてしまうものもあるので注意が必要です。
●ヨーグルトで腸が冷える
腸は冷えると、免疫機能が低下するだけでなく、腸の機能も低下するため腸内環境が悪化しやすくなります。本来であれば、体内へ排出されるはずの毒素が腸内に溜まりやすくなり、血行も悪くなり、さらに腸が冷えるという悪循環によって、ますます腸内環境が悪化してしまいます。
アトピーに効くヨーグルトはあるの?
実際にアトピーに効果があるのはヨーグルトではなく乳酸菌です。乳酸菌にはそれぞれ個性があり、特別な働きを持つ乳酸菌もいます。最近では、アレルギー体質に傾いている免疫に直接作用することで、アトピーなどのアレルギー症状を緩和する乳酸菌も発見されています。
そんなアトピーに効く乳酸菌が含まれているヨーグルトもあります。それが、オハヨー乳業が販売する「ロイテリヨーグルト」です。ロイテリヨーグルトには、生きたロイテリ菌(L.reuteri DSM 17938株)が含まれている機能性表示食品です。機能性表示食品と言ってもアトピーに対してではなく、口腔内フローラを良好にして、歯ぐきを丈夫で健康に保つ機能があるというものです。
しかし、このロイテリ菌がメディアで紹介されたことから注目を浴びるようになりました。このロイテリ菌の特徴は、他の乳酸菌と比べて、胃酸や胆汁に強く生きて腸まで届きやすいということ。そして、免疫機能に直接作用し、アトピーの発症にも関係するサイトカインという情報伝達物質を良い方方向に調整することが確認されています。
乳酸菌の摂取はヨーグルトよりもサプリがおすすめ!
何度も言いますが、実際にアトピーに効果があるのはヨーグルトではなく乳酸菌です。そして、乳酸菌というのは酸や熱に弱く、ヨーグルトに含まれている乳酸菌を摂取しても、ほとんどの乳酸菌は腸にたどり着くまでに死んでしまいます。乳酸菌は死んでも、腸内の善玉菌のエサになるので全く意味がなくなるわけではありませんが、死んでしまった乳酸菌には、その乳酸菌だけが持っている特別な働きは期待できません。それに、ヨーグルトによってアトピーが悪化する可能性を考えると、ヨーグルトを食べるよりも乳酸菌だけを効率よく摂取できるサプリメントの方がおすすめです。
また、アトピーに効く乳酸菌はロイテリ菌以外にも発見されています。良く知られているものをあげると、カルピスが販売する乳酸菌サプリに配合されている「L-92乳酸菌」。CMや広告などでよく見る乳酸菌です。
L-92乳酸菌のアトピーに対するメカニズムは、ロイテリ菌とは少し違っているのですが、人の免疫機能には、アレルギーに反応するIgE抗体を産生する免疫細胞の「Th2細胞」と、免疫細胞を監視しながらウイルスなどに反応する抗体を生産する免疫細胞の「Th1細胞」があり、バランスを保ちなが免疫としての機能しています。アレルギー体質の場合、免疫バランスが「Th2細胞」に傾くことで、アレルギーに対して過剰に反応する免疫異常を起しています。L-92乳酸菌には、この免疫バランスを整える効果があることが確認されています。
「アトピーに効く」と言えない理由
しかし、ここでひとつ疑問が。乳酸菌がアトピーに効くと確認されているのに、CMや広告などでは全くそのようなことが言われていません。これは、薬機法(旧:薬事法)によって、「健康食品には医薬品と誤認されるような効能効果を表示・広告することはできないと定められている」から。乳酸菌サプリなどの健康食品は、栄養補給や健康の維持など一般的な食品の範囲の目的しか持たせることしかできないのです。
L-92乳酸菌のようにアトピーに効く乳酸菌だと確認されている乳酸菌に「LK-117乳酸菌」とういうのがあります。LK-117乳酸菌は、菊正宗酒造が酒造りの過程で発見した乳酸菌で、神戸大学との共同研究の末に、日本生物工学技術賞を受賞、また近畿経済産業局の地域資源活性型研究開発事業として商品化もされているほどの乳酸菌です。
このLK-117乳酸菌を配合し商品化された乳酸菌サプリが「米のしずく」というものです。原材料は米と乳酸菌だけと、とてもシンプルでアレルゲンフリーの商品です。さらには、米由来の乳酸菌ということもあり日本人の腸とは特に相性が良いともされています。このように、アトピーに効くとは書かれていませんが、アトピーへの効果が期待できる乳酸菌はあります。様々な情報に惑わされずに、しっかりと効果が期待できる乳酸菌を見つけましょう。
ちなみですが、菊正宗の乳酸菌サプリ「米のしずく」は、公式通販サイトのみでの販売になるので、ドラッグストアなどでの市販はされていません。また、公式通販サイトからだと、お得なお試しセットなどもあるので試してみる価値ありです。
乳酸菌を摂取するうえで大切なポイント
また、先ほど乳酸菌と人の腸内細菌には相性があるといいました。そのため、必ずしも効果があると言えないのも事実です。そこで重要になってくるのが、アトピーへの効果の信頼性が高い乳酸菌をしっかりと見極めて、自分の腸と相性が良さそうな乳酸菌を試してみること。
そして、摂取した乳酸菌は、腸に定着することはなく2~3日で便と一緒に排出されてしまいます。アトピーに効果がある乳酸菌が常に腸内にいる状態を維持するために毎日継続して摂取すること。根本的な治療法がないアトピーを治すためには、継続することがとても大切です。乳酸菌を摂取しながら、腸内環境を意識して食生活なども少しずつ見直していきましょう。