最近、インスタのストーリーズを見ていたら、子供のアトピーで悩んでいる方なら必ず気になってしまう広告を見つけました。それは、アトピーなのかなと思わせる子供の写真を背景に「ステロイドなし!」という文字がドドンと・・・その広告の内容を見てみて衝撃を受けました!
この記事は約7分で読めます。
こんな方に見てほしい
このページは、子供のアトピーが治るならなんでもしてあげたいと思っている方に見ていただきたいページです。
概要
「脱ステ・アトピー改善」インスタの過剰な広告
SNSの中でも、10代・20代の利用者が多く、アクティブユーザーが多いことが特徴の「インスタグラム」2019年11月の時点で、国内の月間アクティブユーザーは3,300万人を超えています。
そして、インスタグラムで1日に投稿されるストーリーズは5億以上。
ストーリーズとは、通常のフィード投稿とは別枠で短時間の動画や写真を気軽にシェアできる機能で、24時間で自動消滅するのが特徴です。
インスタグラムを利用している方は、インスタグラムを開いてからまず目を通すのがストーリーズではないでしょうか。そして、ストーリーズを見ていると自然に表示されるのがストーリーズ広告です。
ストーリーズ広告は、自分がフォローしているユーザーのストーリーズの投稿と投稿の間に差し込まれるため、自然と目についてしまうので、どうしても気になる内容だと惹きつけられてしまいます。
アトピーに悩む人を惹きつける「ステロイドなし」の文字
実際に、インスタグラムのストーリーズ広告に出てきたものがこちら。
この広告の目的は、広告の下部に表示されている「詳しくはこちら」から見せたいページへ誘導することです。
そのため、アトピーに悩んでいる人を惹きつけるために、「ステロイドなし」「かきむしり跡」「乾燥肌」「アトピー」「保湿」などの言葉を使い、すこし過激な写真も使われています。
それぞれ広告を出しているアカウントはバラバラですが、「詳しくはこちら」からリンクされるページは全く同じです。
広告のリンク先の内容がかなり衝撃!
「詳しくはこちら」からリンクされたページを見てみると、まずタイトルから衝撃な内容でした!
ちなみに、このページは一見、ブログ記事のように見えますが、ページそのものは1ページしか存在せず、このページ内にでてくる「化粧品」を売るために作られたものです。
「アトピーが2ヶ月で改善」
「脱ステロイドできた」
まず、この時点で薬機法違反です!!
薬機法の正式名は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と言い、その名の通り、医薬品、医療機器等の品質と有効性および安全性を確保する他、下記を目的に製造・表示・販売・流通・広告などについて細かく定めた法律です。
医薬品や化粧品の効果や効能について、消費者に誤解を与えかねない広告表現についても細かく定められています。消費者に誤解を与えないための基本的な考え方として以下の2つのポイントが重要になります。
- 医薬品であると誤解させない
- 間違ったことを伝えたり、過剰な期待をさせない
タイトルに、「アトピーが2ヶ月で改善」や「脱ステロイドできた」と書いた時点で、消費者に過剰な期待や誤解を与えています。
では次に、このページにどのようなことが記載されているのか、内容を見ていきましょう。
小さくて見にくいですが、内容のスクリーンショットを並べたものがこちらです。
冒頭では、3歳半になる息子が1歳を過ぎた頃にアトピーと診断されたということから始まります。かなり過激な皮膚症状の画像を載せたり、同じく子供のアトピーに悩みを持つ方と共感するように「かきむしる」などの表現が使われています。
そして、アトピー治療での一番の不安でもある「ステロイド」の話へ。
ステロイドは副作用が強いことで、ステロイドを使ったアトピー治療に対して不安を抱えるママは少なくありません。ステロイドはアトピーの症状を抑えるのには有効ですが、アトピーを治すことはできません。
そこに対して、このページでは肌のバリア機能を改善させる必要があると図などを使って説明されています。アトピーを改善するためにスキンケアはとても重要でバリア機能を改善する必要があることは間違っていないのですが・・・
そこで、紹介されているのが、高保湿ローション、つまり「化粧品」です。
この化粧品を使ったところ、一週間でかきむしりがなくなって、2ヶ月には症状が回復したとビフォーアフターの画像付きで書かれています。
(そもそも、画像の写真が、確実に3歳半の足の長さじゃないところにも疑問ですが???)
化粧品をオススメしたあとは、@コスメでの評価画像が貼られていたり、実際にその化粧品を利用した人の声などが書かれています。
その内容がさらに衝撃!!!
「皮膚科に行ったらステロイドを処方されたが、2週間で肌が元に戻った」
「ステロイドの繰り返しだったのが、ステロイド卒業できました」
など、明らかにアトピーをイメージさせ改善されたかのような内容になっています。
また、最後の方にコメント欄のようなものがあるのですが、そこには「アトピーだったけど、その化粧品を塗ってから再発していない」など、「アトピー」というキーワードが使われ、アトピーが治ると思われるような過剰な内容が書かれています。
消費者に誤解を与える過剰な広告
医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器の広告規制は、薬機法第66条で以下のように定められています。
(誇大広告等)
第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。2 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。
3 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品に関して堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画を用いてはならない。
つまりは、本当にアトピーの改善に効果がるように思われる表現をすることがNGとなり薬機法違反になります。
また、「何人も」とあるように、禁止される誇大広告の主体はその化粧品の製造業者や販売業者に限定されず、広告を掲載するメディアも違反対象となります。
薬事法違反をすると、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはこの両方が科せられます。
「アトピーが治る」商品は存在しない!
薬機法において、化粧品・薬用化粧品に関しても認可されている部分でしか表現できません。
薬用化粧品(医部外品)では、認可されていることは表現可能ですが、具体的な病名が治ること予防することなどを表現することはできません。
ちなみに、化粧品では表現してもいい範囲が定められています。皮膚に関する表現をまとめたものがこちら。
佐々木まい
たとえ化粧品やサプリなどに含まれている成分がアトピーに効くことが証明されていても、商品を広告宣伝するときに「アトピーに効く」や「アトピーが治る」と表現することはできないの。
「アトピーが治る」と言えないから、「アトピーが治る」商品は存在しないということですね。
みきさん
佐々木まい
そうなの、だから今回紹介したページの内容はとても衝撃的でした。子供のアトピーは心配ですが、「アトピーが改善」「アトピーが完治」と表現されている過剰な広告にはダマされないようにしてください。
アトピーの改善に必要なこと
ここまで読んでいただいて、「じゃあ子供のアトピーを治す方法はないの?」「子供のアトピーを治すためにはどうすればいいの?」と思われているママが大半だと思います。
しかし、多くの医師は正しい治療を行うことで、症状が出ない状態にすることは可能と判断しています。アトピーの治療では、①薬物療法 ②スキンケア ③悪化要因の対策の3つが基本とされています。
アトピーはかゆみを止めることが重要
アトピーは、軽い炎症でもかゆみを感じ、皮膚をかいてしまった結果、炎症が悪化し色素沈着を起こしてしまう。このかゆみを抑えるためにはステロイドによる薬物療法は必要となります。ステロイドは医師の指導のもとで正しく使えば、かゆみや炎症を抑えられる効果が期待できます。また、刺激もなく、小さな子どもでも使用できるため、正しく使うことで炎症を繰り返すこともなくなっていきます。
また、それと同時に皮膚のバリア機能をサポートするためのスキンケアによる保湿も重要と考えられています。保湿力が高まると皮膚のバリア機能が高まり炎症が抑えられます。
アトピーの悪化要因の対策
アトピーの悪化要因としては、ダニやホコリなどのアレルゲンの他に、衣服や汗・紫外線などの皮膚に触れる刺激物、食品に含まれる添加物、睡眠不足やストレスなどがあります。
生活習慣や食生活を改善したことでアトピーの症状が改善されたという例は多くあるので、最近では食事による民間療法なども推奨されています。
民間療法の中でも、注目されているのが乳酸菌。ヨーグルトなどの発酵食品に含まれている乳酸菌ですが、乳酸菌であれば何でもいいわけではなく、アレルギー体質に傾いた免疫バランスを調整する機能を持った乳酸菌が期待されています。
免疫バランスを調整する乳酸菌には、カルピスのL-92乳酸菌や、菊正宗の進化系乳酸菌LK-117などがあります。菊正宗の進化系乳酸菌LK-117は米由来の乳酸菌ということもあり、日本人の食文化から相性がいいとも言われています。
あくまでも民間療法は、食生活をサポートするものとして過度な期待は禁物ですが、乳酸菌は副作用の心配もなく、腸の健康をサポートしてくれるため体の健康にも役立つと言われているので、取り入れやすいのも人気の理由かもしれません。
まとめ
民間療法に注目が集まったことで、アトピーで悩んでいる人をターゲットにした「アトピービジネス」と呼ばれる悪徳商法が増えています。その背景には、アトピーの治す根本的な治療法がないことや、ステロイドの副作用の心配などがあります。薬機法での取り締まりが厳しくなってからは、過剰な広告は減りましたが、まだまだ「これを使えばアトピーが治ります」というような過剰な表現をした商品はあります。だからこそ、簡単に治るような内容の広告は要注意です!
アトピーは正しい治療と、生活習慣の見直しで改善されます。諦めず、できる範囲から少しずつ始めていきましょう。