手のひらや手の指、足の裏、足の指に数ミリ程度の小さい水ぶくれができるといった症状は「汗疱(かんぽう)」と呼ばれる皮膚の病気です。水ぶくれのできはじめはかゆみを伴うことが多く、水虫と誤解されやすいため間違ったケアで症状を悪化させてしまう可能性も。症状が酷くならないためにも正しい対処法を紹介します。
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こんな方に見てほしい
このページは、手のひらにできた小さい水ぶくれのかゆみが気になる方に見ていただきたいページです。
概要
手のひらのかゆい水ぶくれの正体
「手のひらがかゆい」と感じて手を見てみると、1ミリほどの小さい水ぶくれが。
かゆいからといって掻いてしまうと、水ぶくれが大きくなり破裂して皮が剥けたりと症状が悪化してしまいます。
このような症状が足の裏で見られた場合、水虫と考えられることが多いです。そのため、手のひらでこのような症状が見られた場合でも、もしかして水虫?と思わている方も多いのではないでしょう?
しかし、このような症状は水虫の他にも汗疱(かんぽう)が考えられます。実は、水虫と汗疱はどちらも春から夏にかけて起こりやすく症状が似ているため区別がしにくいです。また、それぞれ治療法が異なるため、初期のうちに判断させておくことが必要です。
まずは、手のひらのかゆい水ぶくれの正体を見ていきましょう。
水虫と汗疱の違い
水虫は、白癬(はくせん)と呼ばれる感染症で足に生じたことから足白癬(あしはくせん)と呼ばれます。白癬は、皮膚の角質に白癬菌(はくせくきん)というカビの一種が侵入して起こります。白癬の症状には、以下の3つのタイプがあります。
- 指の間の皮がめくれる指間型
- 足の裏の角質が厚くなる角化型
- 小さな水ぶくれができる水疱型
3つめの小さな水ぶくれができる白癬の場合、汗疱とよく似た症状になります。白癬かどうかは、水疱部分の角質やめくれた角質に菌が存在するかで判断されます。白癬の治療には、カビの増殖を抑える抗真菌剤の外用剤を使用します。
汗疱は、手のひらや手の指、足の裏、足の指に数ミリ程度の小さい水ぶくれができ、痛みやかゆみを伴います。水ぶくれは、しばらくすると乾いて丸く皮が剥けますが、症状が悪化すると水ぶくれが繋がって大きくなり、破れてジュクジュクした後に、皮がボロボロ剥け湿疹になります。湿疹になった汗疱は汗疱状湿疹や異汗性湿疹にと呼ばれます。
汗疱は、外界から侵入してきた物質に対して、その周囲に水を大量に流して排除しようとする一種の防御反応と考えられていてます。手のひらや足の裏の角質は非常に厚いので、皮膚の外に出られずに溜まった水が、肉眼で観察できるような水ぶくれになります。
これが汗疱の本体です。汗疱は、手のひらや足の裏の汗をかきやすい人や、汗をかきやすい季節に多く発生する傾向がありますが、冬場でも見れることもあり、最近では金属アレルギーも汗疱の原因として考えられています。
汗疱の治療には、一般に湿疹を抑えるためのステロイド外用剤が使用されます。また、手のひらや足の裏は角質が厚く外用剤の浸透が悪いことから、強めのステロイド外用剤が使用されます。
このことからもわかるように、水虫と汗疱は症状は似ているのに治療は全く異なります。汗疱に菌の増殖を抑える抗真菌剤を使用すると、刺激されて症状が悪化することがあります。また、水虫にステロイド外用剤は効果がなく、逆に患部を拡大させてしまいます。
手のひらの水ぶくれは汗疱の可能性が高い
水虫は、足だけにできるとはかぎらず手にもできますが、初期症状としてはかゆみが少ないのが特徴です。
また、水虫は菌が付着したからといって必ず感染するわけではなく、ほとんどの場合は手洗いやタオルで拭くことで脱落しますし、しっかり拭いて乾燥させ清潔に保つことで発症しにくくなります。そういったことから、足よりも手で水虫を発症する可能性は低いことが考えられます。
汗疱の原因や対処法
手ひらや足の裏にポツリポツリとできた小さい水ぶくれは、初期の汗疱の状態のため、汗づまり対策や角質のセルフケアで症状を改善することができます。しかし、かゆいからと掻いてしまうと、症状が悪化し水ぶくれが大きくなり破けて皮がむけ、さらにかゆみがひどくなり皮膚科での治療が必要となります。そうならないためにも、汗疱の原因や対処法などを見ていきましょう。
汗疱の症状や原因
汗疱の初期症状としては、はじめに1~2ミリ程度の小さい水ぶくれができます。この状態が「汗疱」と呼ばれ、まだ炎症などの湿疹症状は出ていません。汗疱の原因となっているのは汗ですが、詳しいことは明らかになっていません。
その後、水ぶくれが破裂して、皮膚が剥がれると湿疹になります。この状態が「汗疱状湿疹」と呼ばれます。汗疱状湿疹になると、痛みやかゆみが伴うことが多く、特に初期の段階ではかゆみが強い傾向があります。また、正常な皮膚は、外部からの細菌が入り込まないようにバリア機能が働いていますが、汗疱ではこのバリア機能が破壊されることで細菌感染が合併するリスクも伴います。
汗疱が湿疹化する原因もはっきりと解明されていませんが、有力な説として水ぶくれが破裂した時に、水ぶくれの中の汗に含まれていたアレルゲンが周囲の皮膚にアレルギー反応を引きこさせる一種のアレルギー性皮膚炎が考えられています。
汗疱の対処法
汗疱は対処法を間違えると、炎症が悪化し重症化することもありますので、正しい対処法を行うことが大切です。
- 皮膚科を受診
- 汗はこまめに拭く
- 保湿ケア
- 金属を含む食べ物を控える
- 刺激の強い食べ物を控える
汗疱と疑われるような症状が出たとき自己判断せずに皮膚科を受診しましょう。
痛みやかゆみなどの症状がひどく、我慢できずに掻いてしまうと、さらにかゆみが強くなったり、炎症が悪化してしまい、完治するまでの期間も長引いてしまいます。まずは、今出ている症状を抑えることが先決です。
汗疱は、名前からもわかるように「手に汗をかきやすい人が発症しやすい病気」とされています。汗をかいたらこまめに拭き取ることで、汗疱の予防につながります。
肌が乾燥していると、湿疹の症状が悪化したり治りにくくなります。乾燥した状態の肌はバリア機能が低下し、そこからアレルゲンが侵入してかゆみが誘発されます。特に、主婦や水に触れる職業の人は、手の油分が失われ手が乾燥しやすくなっています。保湿は、肌のトラブル予防の基本になりますので、ワセリンやクリームなどで十分な保湿ケアを心がけましょう。
汗疱の悪化の原因となるアレルゲンの1つとして金属が考えられています。
私たちが普段食べているもの中には、金属を多く含むものが存在します。日常的に金属によるアレルギー反応が起きやすい方は、金属を多く含む食品の摂取を控えることで症状が緩和される可能性があります。金属を多く含む食品には、枝豆、チョコレート、ココア、あさり、納豆、アーモンド、くるみ、玄米などがあります。また、食品ではありませんが、タバコにも金属が多く含まれているので注意が必要です。
刺激の強い食べ物や油分・糖分の多い食べ物を控えることで、汗疱の症状が緩和されることがあります。体は、刺激が強かったり、過剰に摂取しすぎて分解できない食品をアレルギー物質と誤認してしまうことがあります。
汗疱の対処法としては、大きく分けて2種類。
- 炎症を抑える対症療法
- 汗疱の発生を抑える原因療法
汗疱は、初期の状態であれば、放っておいても2~3週間で治りますが、かゆみが強くなったり汗疱が大きくなったり炎症がひどくなった場合は、皮膚科を受診し炎症を抑えるステロイドの塗り薬や、皮膚の角質を柔らかくして汗の排出を促す尿素入りの軟こうなどを処方てもらう対症療法が必要になります。ただし、対症療法を続けても汗疱の原因をなくさなければ、汗疱は再発してしまうので、汗疱を完治させるためには原因療法がとても重要になります。
簡単にできるアレルギー対策
汗疱の対処法をいくつか紹介しましたが、その中で一番難しいのがアレルギー対策。
アレルギーの厄介なところは、体質が関係することもあり完治することが難しいことです。アレルギー対策の基本は、アレルギーの原因となるアレルゲンを除去・回避することです。アレルゲンを避けることが最も確実な方法ですが、アレルゲンを避けるために家のなかを常に清潔にし、規則正しい生活、バランスのよい食生活をずっと続けることは、思ってるよりも大変です。
そこで、おすすめなのがアレルギー体質の原因となる免疫バランスの乱れを整える乳酸菌の摂取です。乳酸菌といえばヨーグルトなどにも含まれていて、整腸作用があり健康に良いとされて、積極的に摂取している方も多いのではないでしょうか。この乳酸菌の健康効果が注目され、様々な企業が現在も乳酸菌研究に力を注いでいます。
そんな、最新の乳酸菌研究の中でも特に注目されているのが、免疫細胞に直接作用してアレルギー体質に傾いた免疫バランスを整える効果のある乳酸菌です。この乳酸菌を摂取することによって、花粉症やアトピーなどの、今まで根本的な治療法がなかったアレルギー疾患の、症状緩和などが期待されています。
実は、このアレルギーへの効果は全ての乳酸菌にあるわけではなく、効果があると確認されている乳酸菌は現在はまだ数種類しかありません。そんな乳酸菌が摂取できる乳酸菌サプリメントとして発売されているものとしては、以下のものがあります。
- カルピスのL-92乳酸菌配合「アレルケア」
- 菊正宗のLK-117乳酸菌配合「米のしずく」
カルピスのL-92乳酸菌配合「アレルケア」は、テレビCMなどもありとても有名ですよね。
これらの乳酸菌を摂取するだけで、アレルギー体質を改善することができるなんて、とてもすごいことだと思いませんか。
このアレルケアや米のしずくの乳酸菌について、さらに詳しく書いた記事はこちら。
→ 「米のしずくの効果やアレルケアとの違いについて」
汗疱が治るまで
汗疱はアレルギーも原因することから、明確な治療法というのはありません。しかし、汗疱は、発症すると良くなったり悪くなったり繰り返しながら、ある日治ることもあります。個人差もあるので「いつ治る」ということは言えませんが、汗疱はだんだんと治っていくことが多い病気です。
「一生治らないの?」と重く考えず、対症療法と原因療法を続けながらゆっくり治していきましょう。この記事を読んで、少しでも楽になる方法を見つけていただれれば幸いです。