手足口病は、子供を中心に夏に流行するウイルス性の感染症です。まれに大人が感染することもあり注意が必要です。近年、数年に一度の頻度で大流行しています。夏になって本格的に流行する前に、感染したときの対処法や予防法を知っておきましょう。
朝起きたら突然、子供の手足に小さい水ぶくれができていたり、病院に連れて行くと手足口病にかかっていたなんてことも。症状はいつ消えるの?感染するの?熱はないけど幼稚園や保育園に行っていいのなど、本記事では、手足口病とはどのような病気か、またかかってしまったときの対症法、感染しないための予防法などについて説明します。
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こんな方に見てほしい
このページは、小さい子供を持つ親御さんや、手足口病についてあまり知らないという方に見ていただきたいページです。
概要
子供に流行する手足口病はどんな病気?
手足口病は、手や足、口の中に水疱性の発疹が出るウイルス性の感染症で、子供を中心に夏に流行します。厚生労働省の感染症発生動向調査では、例年、報告数の90%前後を5歳以下の乳幼児が占めています。原因となるウイルスは「エンテロウイルス」「コクサッキーウイルス」で、複数の種類があるため何度もかかる可能性もあります。
手足口病は、子供を持つ親には知られている病気ですが、まれに大人でもかかることがあるので注意が必要です。
手足口病の症状
手足口病の主な症状は、手のひら、足の裏や足の甲、口の中を中心に米粒大の白っぽい水ぶくれのような発疹が出ます。
それ以外にも、お尻のまわりや脚・腕全体に発疹が出ることもあります。発疹には痛みやかゆみなどはありませんが、口の中の水ぶくれが破れて口内炎になると痛みがでて、食事や水分がとりにくくなることがあり、そこから脱水症状を起こすことがあります。また、発疹が出始めた頃に、1~3日間は微熱や軽い喉の痛みを伴うことがあります。発疹は、1週間程度で消えます。ただし、手足口病の原因ウイルスである「エンテロウイルス」は無菌性髄膜炎の70~80%を占めるため、まれに脳炎を伴って重症化することもあるので注意が必要です。
手足口病になったときの対処法
手足口病の原因となるウイルスに効く薬はないため、発熱や嘔吐があったり、症状がひどかったり、食事をとれないようなときは、風邪をひいたときなどと同じように安静に過ごしましょう。ただし、脱水症状がひどくなったり、髄膜炎や急性脳炎などの合併症が心配される場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
また、手足口病ではのどの痛みが伴うこともあるので、オレンジジュースなどのような刺激のあるものは避け、麦茶や牛乳など、のどごしの良い少し冷たい飲みものがおすすめです。食べ物も刺激があるものは避け、ゼリーやプリン、冷めたおかゆや豆腐など、かまずに食べれるものがおすすめです。
一般的に手足口病の症状は軽いとされていて、登園(登校)についての一定の基準はありません。症状が回復した後なら登園(登校)しても大丈夫です。ただし、登園・登校の基準は園や学校によって異なるため、念のため園や学校に確認した方がいいでしょう。症状の回復の目安は、熱が下がってから1日以上の経過、口腔内の発疹の影響がなく普段の食事ができるなどです。
手足口病の感染経路と潜伏期間
手足口病の主な感染経路は、「飛沫感染」と「接触感染」です。
- 飛沫感染
- 接触感染
病原体を含んだ気道分泌物や唾液が飛沫となり、それが咳やくしゃみによって飛び散ることで感染
唾液や鼻水がついたおもちゃの貸し借り、その他手すりやタオルなどの物体の表面を開始て間接的な接触によって感染
手足口病は、ウイルスに感染してから3~5日の潜伏期間を経て発疹が出ます。その後、1週間くらいで症状は治まりますが、症状がなくなった後も1〜2週間は口(高級機)から、2〜4週間は便などからウイルスが排泄されます。この期間は、ほかの人に手足口病を感染させる可能性があるので、手洗い、うがい、マスクを着用するなどのエチケットが大切です。また、家庭内でのタオルの共用は避け、子供のおむつを交換した後は、入念に石鹸で手を洗いましょう。
手足口病は重症化すると危険!
手足口病は、まれに重症化したり、髄膜炎や急性脳炎などの合併症を起こすことがあります。以下のような症状がみられて場合は、すぐに医療機関を受診するようにしましょう。
- 高熱が出る
- 2日以上の発熱
- 嘔吐する
- 頭痛
- 視線が合わない
- 呼びかけに反応しない
- ぐったりしている
- 呼吸が早い・苦しそう
- 水分の摂取が困難で尿が出ない
大人が手足口病に感染すると・・・
手足口病は、5歳以下の乳幼児に多く、それよりも上の年齢では既にウイルスに感染していることが多いのですが、ウイルスは複数の種類があるため、まれに大人でもかかることがあります。そして、子供よりも大人のほうが症状が重く出やすいので注意が必要です。
また、子供の手足口病と同様に重症化することもあるので、発疹の出る場所や発疹の状態で自己判断せずに、医療機関を受診しましょう。
手足口病の予防や対策
手足口病に対する特効薬はなく、特別な治療方法もありません。また、基本的には症状が軽い病気のため、経過観察や症状に応じた治療になります。しかし、まれに髄膜炎や急性脳炎などの合併症が起こる場合があるので、しっかりと経過観察をする必要があります。そうならないためにも、日頃から、特に夏は予防が大切です。
手足口病を予防するには
手足口病の原因となるウイルスに効くワクチンはなく、手足口病の発病を予防できるものはありません。一般的な感染症の予防は、接触感染をしないように手洗いをしっかりとすることと、排泄物を適切に処理することです。特に、乳幼児の集団生活施設では感染を広げないために、職員と子供たちが、しっかりと手洗いをすることが大切です。ご家庭でも、日頃から子供が自ら進んで手洗いをするように進めましょう。そして、家庭内感染を防ぐために、手がよく触れる場所などは、こまめに洗浄・除菌を行ったり、タオルの共用はしないようにしましょう。
しかし、ウイルスに感染すると、症状が治った後でも、比較的長い期間、便などからウイルスが排泄され、症状が出なくても感染しウイルスを排泄していることもあります。こういったことから、発病した人を長期間隔離することが有効な感染対策とはいえず、現実的でもありません。また、乳幼児の集団生活施設では、先ほど述べたような手洗いなどの衛生的な対策の徹底が難しく、施設内感染の広がりを防ぐことが難しいのが現状です。
そこで、感染症の予防として、ぜひ行ってほしいのが、衛生面での予防と同時に体の免疫力を高めて感染しにくい体質をつくることです。
免疫力を高めて感染しにくい体質づくり
免疫力を高めておくことで、ウイルスなどに感染しにくく、また、感染しても症状が軽く済みます。ここでは、免疫力を高めるために日頃から意識してほしいことを紹介します。
- 体温を上げる
- 腸内環境の改善
健康的な人の平熱は36.5~37.1度なのですが、実は今、36度以下という「低体温」の人が増えています。
私たちの体を構成する約60兆個もの細胞に栄養と酸素を送り届け、かわりに老廃物を持ち帰る
働きをしているのが血液です。そして、その血液の中には、免疫機能を持つ白血球が存在し、その白血球が体中を巡ることで体内に異物がないかをパトロールしています。体温が下がると血流が悪くなりますよね。
つまり、体温が下がると免疫力が低下し、体内の異物を発見しても白血球の活動も低下しているため、ウイルスや細菌に負けて発病しやすくなります。まずは、自分の平熱を知り、健康的な体温を維持して血流を良くすることが、免疫力の向上につながります。
人の免疫細胞の60%以上は腸に集中しています。免疫細胞を作り出すためには、良質のタンパク質や脂肪、ビタミンやミネラルなどを、バランスよく食べることが大切です。そして、食事から摂取した栄養を効率よく吸収するためには、腸内環境がとても重要になります。また、腸内環境が改善されると、腸内の善玉菌が増え、免疫細胞が活性化されます。
→ 子供の感染症予防に、お米由来の乳酸菌で腸の免疫力を高めよう!
続けやすいことから習慣化
体温を維持するには、体温調節しやすい服装を心がけたり、軽い運動をしたり、入浴はシャワーだけではなく湯船にゆっくりつかるなどしてみましょう。また、食事は、毎日飲む味噌汁に野菜がたっぷり入れてみたり、乳酸菌を多く含む発酵食品、体を温める根菜類やショウガなどを加えるなどしてみましょう。できることはたくさんあるので、続けやすいことから習慣化して、ウイルスなどの病原体に負けない体をつくっていきましょう。