日本におけるアトピーの患者数は、年々増加傾向にあります。アトピーは、免疫やバリア機能が未熟な子供に発症しやすい病気です。子供のアトピー対策に、入浴やスキンケアなど日常で気をつけておきたいことを紹介します。
この記事は約6分で読めます。
こんな方に見てほしい
このページは、子供のアトピーが気になる、ツラそうなかゆみを薬を使わずに治してあげたいという方に見ていただきたいページです。
概要
子供のアトピーの世代別症状の特徴
アトピーは、強いかゆみと発疹の症状が繰り返し現れる皮膚の病気です。もともとアレルギーを起こしやすい体質の人や、皮膚のバリア機能が弱い人に多く見られます。
厚生労働省が発表している「アトピー性皮膚炎の有症率(全国8地区)2000-2008」では、4人ヵ月児の12.8%、1歳6ヵ月児の9.8%、3歳児の13.2%、小学1年生の11.8%、小学6年生の10.6%、大学1年生の8.2%、20代の9.4%、30代の8.3%、40代の4.8%がアトピー性皮膚炎でした。
日本におけるアトピーの患者数は、年々増加傾向にあります。
アトピーは、免疫やバリア機能が未熟な子供に発症しやすく、大人になると自然に症状が治ることが多い病気だったのですが、最近では、環境の変化などによって、大人になってアトピーを再発する人も増えています。
乳児期のアトピーの特徴
乳児期のアトピーは、頭や顔を中心に、赤くジクジクした湿疹がみられます。離乳期は、特に口のまわりや頬によくみられます。一般的に、乳児の症状は、頭や顔からはじまります。
乳児期に現れやすい主なアレルギーは、「食物アレルギー」と「アトピー性皮膚炎」で、食物アレルギーでは、顔や全身にみみずばれのような赤みとかゆみが現れ、アトピーとは別々に治療する必要があります。
まだ体が未成熟のために、症状がアレルギーを原因とするものなのか、その他のものが原因なのかなど、鑑別が難しい時期なので症状を注意深く観察し、まずは、皮膚科専門医に相談しましょう。
幼少期のアトピーの特徴
幼小児期には、肘や膝など汗が溜まりやすい手足の関節部分に多くみられます。また、耳切れとよばれる、耳の付け根のくぼみにあかぎれのような症状もみられます。
一般的に、子供は大人より皮膚の状態が良いと思われがちですが、実は、生後3~4ヵ月から思春期までの子供の皮膚は、皮脂の分泌が少ないため、乾燥しやすく皮膚のバリア機能が不十分であることが分かっています。
思春期・成人期のアトピーの特徴
思春期や成人期になると、下半身よりも上半身で発疹がよくみられ、顔、首から胸にかけて、背中などに発疹が強く出る傾向があります。
強いかゆみを伴い、繰り返し掻くことにより、皮膚がゴワゴワと厚くなる苔癬化(たいせんか)という症状があらわれます。また、同じところをずっと掻いてしまうと、皮膚が硬く盛り上がり、かゆみが持続する痒疹(ようしん)と呼ばれる症状になります。
アトピーは子供の皮膚で何が起こっているの?
アトピーの方の皮膚は、バリア機能が低下し、皮膚に必要な水分が外へ出てしまい乾燥しています。乾燥した皮膚は、外部からの刺激物質が侵入しやすくなっている敏感肌の状態です。
肌は、外部からの何かしらの刺激を受けることでかゆみを感じます。そして、掻くことで皮膚が傷つき、皮膚の状態がさらに悪化します。、また、掻いた刺激によりさらにかゆみが強くなり、また掻いてしまうという悪循環が生まれます。
子供のアトピーで気をつけたいこと
基本的に、アトピーを引き起こす要因として、「アレルギー体質」「皮膚のバリア低下」「アレルゲン・外部刺激」の3つがあり、この3つの要因が重なることでアトピーを発症すると考えられています。
このことから、日頃、子供のアトピー対策で気を付けるべきことは「皮膚のバリア低下」を防ぐことです。そこで、皮膚のバリア機能を保つために、入浴やスキンケアなど日常で気をつけたいことを見ていきましょう。
皮膚のバリア機能を保つために必要なもの
皮膚のバリア機能を正常に保つためには、皮膚を乾燥させないことが重要です。正常な皮膚では、適度な水分が保たれていることで、外部の刺激から体を持ってくれています。こうした皮膚のバリア機能には、皮膚の3大保湿因子が関係しています。
皮膚の3大保湿因子には、
・天然保湿因子・・・水分を補う(角質細胞の内部に水分を補給する)
・セラミド・・・水分を保つ(水分保持し、角質細胞の間を埋めて潤いを保ちます)
・皮脂・・・水分を逃がさない(皮脂膜を強化し水分の蒸発を防ぎます)
皮膚を乾燥させないためには、皮膚に水分を逃がさないために、保湿をすることが大切です。
最近では、新生児のうちから全身に保湿剤を塗ることで、アトピーになるリスクが3割減ったという報告もあるようです。
子供の皮膚のバリア機能を正常に保つためにスキンケアは、アトピー対策のひとつとされています。また、症状の改善と悪化を繰り返すことがあるため、症状が重いときだけでなく、軽いときにも気をつける必要があります。
子供のスキンケアの基本は、清潔な皮膚を保つための入浴と、皮膚の水分を保つための保湿です。この2つを正しく行うことで、皮膚のバリア機能をしっかりと保ってあげましょう。
子供の入浴で気をつけたいこと
①しっかりと泡立てる
石鹸やボディソープは、泡立てネットを使ってしっかりと泡立てることが大切です。また、石鹸の種類は、皮脂をとりすぎずために洗浄力が強くないものを選びましょう。
②優しく洗う
①で作った泡を使って、タオルやスポンジなどは使わずに、指の腹で擦らないように優しく洗います。
③十分に流す
石鹸成分が少しでも皮膚に残っていると刺激になることがあるので、洗った後はぬるめのお湯で汚れと泡が残らないように十分に洗い流します。
④優しく拭く
体を拭くときは、タオルで体を包み込み押さえるようにして拭きます。拭き取るのではなく、水分を吸収するイメージで優しく拭くことが大切です。
子供の保湿で気を付けたいこと
入浴後は、皮膚の脂分が洗い流されているのと、体温が高くなっているため、何もしないでいると、すぐに皮膚は乾燥してしまいます。入浴後は、なるべく5分以内に保湿剤を塗ってあげましょう。
保湿剤は、擦らずに優しく、関節やシワがある部分は皮膚をのばして、目や耳の周りも忘れずに塗りましょう。アトピーの症状があるときもですが、症状がないときでも日常的に保湿することが大切です。
保湿剤には、様々な種類がありますが刺激が少ないもので、好みや季節などに合わせて使い心地のいいものを選びましょう。入浴後の皮膚が乾燥していると感じたときは、保湿剤を塗る前に、霧吹きやガーゼで皮膚を湿らせたり、化粧水をつけてから塗るのがオススメです。
アトピーの子供の日常で気をつけたいこと
アトピーにとって、大きな問題でもある「かゆみ」。アトピーは、掻くことで症状がさらに悪化してしまいます。皮膚の乾燥は、かゆみの原因となるため入浴や保湿はとても重要です。
その他に、アトピーの子供の日常で気をつけたいことを紹介します。
・症状が出ている部位にほてりがあるときは保冷剤で冷やす
・掻いてしまったときに皮膚を傷つけないために爪を切る
・ストレスもアトピーの悪化の原因になるので適度に発散する
・汗は長時間放っておくと刺激になるのでこまめに拭く
・部屋の中や布団などを清潔に保つ
・刺激の少ない服を選ぶ
アトピーの子供の日常で、保湿の他に気を付けたいことは、「刺激を与えない」ようにすることです。せっかく保湿で皮膚のバリア機能を保っても、何かしらの刺激を与えて皮膚を傷つけてしまっては意味がありません。
保湿と刺激を気をつける!この2つが子供のアトピー対策にとても重要です。
アトピーは肌本来のチカラをサポートすることが大事
肌が健康な状態であればバリア機能が十分に備わっているはずの大人のアトピーの場合は、弱ってしまった肌本来のチカラをとり戻してあげることが大切です。大人になってアトピーを再発する人が増えている原因は、精神的ストレスも大きく影響し治りにくいとされています。そのため、食生活の改善だけでなく睡眠習慣の見直しなど生活習慣の改善がとても重要になります。
一方、子供のアトピーの場合は肌のバリア機能がまだ未熟なためため、肌を保護ししながら、肌本来のチカラを育ててあげることが大切です。そのためには、体の内側からのケアがとても重要になります。人の体をつくっている細胞のひとつひとつは、毎日の食事から得る栄養で作られています。なので、バランスの摂れた食事はもちろん、栄養の消化吸収を担う腸内環境を整えることも重要です。
腸内環境の改善に有効とされているのが、ヨーグルトなどに含まれている乳酸菌が代表的です。最近では、アレルギーの心配もなく乳酸菌を効率よく摂取できる乳酸菌サプリメントなども人気です。あまり神経質にならずに、乳酸菌サプリなども活用しながら、うまく子供の肌バリア機能をサポートする生活をしてあげるのもいいかもしれません。
乳酸菌がアトピーに効くは嘘!?
乳酸菌がアトピーや花粉症などのアレルギーに効くという話を聞いたことはありませんか?実はそれ、嘘かもしれまん。
今さっき、言っていたことと正反対じゃないかって思われたかもしれませんが、実はそれが真実です。正確には、アトピーに効果があると証明されている乳酸菌でなければ効果がないということです!
確かに、乳酸菌は健康のために良い働きをしてくれることは間違いありません。しかし、それは乳酸菌によって腸内環境が整えられること得られることです。そのため、全ての人に同じような働きをしてくれるとは限りません。
・乳酸菌であればなんでもいい
・生きた乳酸菌でなければ意味がない
・乳酸菌は数が多いほうがいい
これらは全て、嘘だらけの情報です。
乳酸菌にも種類がありそれぞれ特徴があります。各企業が長年の研究を経て、乳酸菌が持つ独自の効果を発見しそれを証明しています。実際に、アトピー改善の効果があると証明されている乳酸菌は、数えるほどしかありません。また、乳酸菌は生きていて意味があるもの、死菌の方が効果を発揮するものなど様々で、数が多ければ多いほどいいというわけでもありません。
だからこそ、乳酸菌ならなんでもいいのではなく、しっかりと効果が証明された乳酸菌を選ぶことが重要なのです。
また、子供にサプリメントを飲ませる際の注意があります。サプリメントの中には、大人向けにつくられていて子供が飲めない場合もあります。サプリメントだから大丈夫と思わずに、子供が飲めると書かれたものを選ぶようにしましょう。
【子供でも飲める乳酸菌サプリメントの記事はこちら】
→ 子どものアトピー症状に赤ちゃんも飲める乳酸菌サプリ「米のしずく」