夏になり気温が上がってくると、虫刺されやあせもをきっかけに発症することが多い「とびひ」ですが、アトピーで皮膚バリアが弱くなっていることでもできやすくなります。とびひがどのような病気なのか、プールやお風呂などの日常生活でうつる可能性から予防法までを解説します。
この記事は約6分で読めます。
こんな方に見てほしい
このページは、夏の子供のあせもやアトピーは気にかけているけど、とびひのことはあまり知らない方に見ていただきたいページです。
概要
夏の子供に多い病気「とびひ」って何?
「とびひ」は、主に気温や湿度が高くなる5~6月から夏にかけて、子供に多く見られる皮膚の病気です。正式な病名は「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」といい細菌が皮膚に感染することで発症するため、人にうつる病気です。
虫刺されやあせも、かき傷やすり傷、湿疹などをきっかけに、黄色ブドウ球菌や溶連菌などの細菌が入り込んでおこります。これらの細菌は、健康な皮膚には感染しませんが、傷があったり、アトピー性皮膚炎などで皮膚のバリア機能が弱くなっていることで感染しやすくなります。特に、虫刺されやあせもになりやすい夏の時期に多くみられます。
とびひの症状
とびひの症状は、まず、かゆみを伴う水疱ができます。水疱は2~3日で急速に大きくなります。大きさとしては大豆やクルミぐらいになります。その水疱は破れやすく、破れると中から浸出液がでてジュクジュクとただれた状態になります。この水疱から出る浸出液には細菌が含まれているため、これを触った手で体のあちこちに触れることで全身に感染が広がっていきます。この感染が火事の飛び火のようにあっという間に広がることから「とびひ」と呼ばれています。
虫刺されやあせも、かき傷やすり傷、湿疹などをきっかけに発症することが一般的です。また、鼻の穴の入り口にはさまざまな細菌が常在しているため、鼻を触る癖があると鼻の周囲からとびひになったり、鼻を触った手で虫刺されやあせもを掻くことで二次感染を起こしてとびひになります。
とびひは大人でもなるの?
とびひは主に以下の2種類あります。
- 水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん
- 痂皮性膿痂疹(かひせいのくかしん)
水疱が出きて、だんだんと大きくなり破れ、皮膚がただれるタイプ。このタイプは、乳幼児や小児に多くみられます。原因となる細菌は黄色ブドウ球菌です。
水疱は出きないのですが、炎症が強くかさぶたが厚くなるタイプ。このタイプは年齢に関係なく大人でも起こります。原因となる細菌は溶連菌です。
とびひは、子供に多く見られる病気ですが、実は大人でもなる病気なのです。まれに、水疱性膿痂疹の方も大人でなることがあります。特にアトピー体質などの場合は、皮膚が薄くバリア機能が弱く敏感肌になっているため、細菌に感染しやすくなります。
アトピーはとびひになりやすい?
アトピーの場合、かき壊してできた小さな傷や擦り傷などから細菌が入り込みやすいため、とびひにもなりやすいと言われています。また、夏だけに限らず一年中注意が必要です。
アトピーも悪化するとジュクジュクやただれなどの症状が見られるのですが、とびひの症状の目安としては、「大きい水疱がたくさんできる」と「皮膚がジュクジュクして黄色い膿がでる」ことです。
とびひの場合は、水疱が破れると同時にあっと言う間に全身に広がります。とびひかも思ったら、早めに受診するほうがいいでしょう。
とびひの治療法
とびひの治療には、抗生剤の内服と軟膏が使われます。抗生剤は、病気の原因となっている細菌を退治するため重要な薬です。湿疹を伴う場合にはステロイド軟膏を併用し、かゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬の内服を併用することもあります。
治療すると、ジュクジュクとただれていたところが乾きいてかさぶたができ、やがて自然とはがれ落ちて治っていきます。また、とびひの治療は、途中で中断すると症状の再発につながるので注意が必要です。
子供がとびひになったら?
子供がとひびかなと思ったら早めに受診するようにしましょう。処方された抗生剤は、きちんと全部飲み切り、塗り薬などは指示された塗り方・回数・ガーゼでの保護の方法を守るようにします。
とびひは伝染力が強く、他の子供にうつりやすいので治療中であっても注意が必要です!
幼稚園・保育園・学校は?
とびひは、学校保健安全法の中で「学校感染症、第三種(その他の感染症)」として扱われています。ほかの園児・学童にうつす可能性があるため、基本的には、医師よる診断と治療をして、患部をガーゼや包帯できちんと覆い露出していなければ、登園・登校許可が得られます。
一般的な見解としては、患部が広範囲の場合や全身症状のある場合は、休んでの治療を必要とすることがありますが、患部を外用処置してきちんと覆っていれば、休む必要はありません。
ただし、様々な細菌が常在している鼻の中はガーゼで覆うことのできないで、鼻をいじらないように徹底させましょう。
プールやお風呂でうつるのは本当?
プールの水でうつることはありませんが、症状が悪化したり、触れることで他の子供にうつす可能性があるので、プールや水泳は完全に治るまでは禁止です。
また、子供がとびひになるとお風呂に入れていいのか悩む方も多いですが、とびひの治療中で大切なことは皮膚を清潔にすること。そのため、発熱などの全身症状がない限りは、シャワーや入浴が欠かせません。ただし、家庭内感染を防ぐために入浴は最後にし、バスタオルやタオルは共有しないようにしましょう。入浴後は、浸出液が周りに接触しないようにしっかりと保護処置を行います。
とびひの入浴時と入浴後のスキンケア
とびひを早く治すためには、入浴時と入浴後のスキンケアが大切です。患部は、泡立てたせっけんで優しく丁寧に洗い、シャワーで十分にすすぎます。湯船につかる場合は、からだが温まり過ぎないように短時間にし、お風呂からでる前に、もう一度丁寧にシャワーで全身をすすぎます。
入浴後は、患部にタオルを押し当てて丁寧に水気を取ります。その際に、患部を拭いたタオルで他の部位を拭かないように注意してください。そして、患部からの浸出液が周りに触れないように軟膏を塗ります。基本的には、患部はなるべく開放して乾燥させたいので、ガーゼや絆創膏で覆うことはしませんが、かゆみが強く掻いてしまうような場合は、通気性のいいガーゼで覆います。ガーゼは汚れたらこまめに張り替えるようにしましょう。
とびひの日常生活での注意点
- 泡立てたせっけんで患部は優しく丁寧に洗い、皮膚を清潔に保つ。
- 接触によってうつるので、タオルなどの共用はしない。
- 完全に治るまでプールはやめておきましょう。
- 鼻の中には常在菌がたくさんいるので、鼻は絶対にいじらない。
- かさぶたの中には細菌が残っているので自然に剥がれるのを待つ。
子供のとびひ予防にできること
とびひを予防するためには、基本は以下の5つです。
- 毎日お風呂に入り、石鹸で洗浄し皮膚を清潔に保つ。
- 手はよく洗って、爪は短く切っておく。
- 鼻の穴はいじらない。
- 虫さされやすり傷は消毒などの治療をする。
- 湿疹やアトピーの改善。
とびひを予防する基本は、皮膚を清潔に保ち、なるべく皮膚を傷つけないようにすることです。アトピーの場合は、肌のバリア機能が弱っているのでバリア機能を改善するためのスキンケアを行うこともとびひ予防につながります。
とびひの予防にはスキンケアが重要!
夏になって気温が上がってくると、とびひのきっかけになる皮膚疾患が増えます。
気温が高くなると、人は体温を下げるために汗をかきます。汗を多量にかいて放置していると、汗を出す管が詰まって、そこから炎症を起こし、皮膚に小さな水疱やかゆみを伴う赤いブツブツができます。これが「あせも」です。あせものとびひと同じく、夏にかけて子供に多く見られます。
夏のスキンケアで最も大切なのは、洗浄と保湿です。汗をかいたらこまめに拭いたり、シャワーを浴びたりして皮膚を清潔に保ちましょう。そして、皮膚の乾燥は肌のバリア機能の低下にもつながるので、保湿剤によるスキンケアも大切です。日頃から正しいスキンケアを行い、夏の皮膚トラブルから子供を守ってあげましょう。
【子供でも飲める乳酸菌サプリメントの記事はこちら】
→ 子供のアトピー対策!入浴やスキンケアなど日常で気をつけたいこと
→ 【子供のあせもの治し方】汗かぶれとの違いや市販薬の選び方について