アトピーは、皮膚のバリア機能に障害が生じてしまうもの、そして外的要因に対する免疫機能の調整がうまくいかなくなる障害など、遺伝的な要因と環境的な要因があります。
概要
皮膚のバリア機能から見た「アトピー」
アトピー性皮膚炎の患者の皮膚は炎症のない時でも、セラミドと天然保湿因子が不足していることが知られています。セラミドとは、肌を守るバリアであり、人間の体内にある水分を外に逃がさない役目があります。アトピーの方はこのバリア機能のセラミドが不足しており、そのため細胞の間に隙間ができて、皮膚バリアがさらに弱くなることで、細胞内の水分が失われ皮膚は乾燥しやすいのです。
この水分を失った皮膚が、さらなる乾燥や、かゆみなどを発生させ
刺激等により、さらなる湿疹や炎症を引き起こすという、スパイラルとなります。
もちろん、バリア機能が低下した肌は、花粉やハウスダストなどのアレルゲンや細菌に侵されやすいため
また、かゆみを伴う湿疹や炎症がひどくなります。
アレルギーの仕組み
アレルギーは、抗原抗体反応によるもの
人間の身体は、身体にとって異物となるものが体内に入ったとき、それに対抗する物質(抗体)を作って、異物を排除しようとするシステムが備わっています。「免疫」「抗原抗体反応」はこのシステムのことを言います。
このように、有益なシステムではありますが、ときに必要以上に作用したり、あるいは不適切に作用することがあります。これがアレルギー反応です。
アレルギーは治るのか?
免疫やアレルギーに関する身体の仕組みは、「一度身体が記憶してしまえば、二度と忘れることはない」というのが特徴です。よって、身体の記憶が消えることがないという意味では。「アレルギーは治らない」といえます。
しかし、アレルギー反応によって起こる症状は、抑えたり、コントロールすることができます。接触や皮膚の乾燥、感染によって起こる症状も予防や対処の方法があります。その意味では「アレルギーは治る」というもの、間違いではありません。
また、一般に「アトピーを治すこれといった方法は見つかっていない」と表現されることが多いですが、その人の身体の反応がどのように起こっているのか、きちんと見極め、どのように対処するかを決めることができれば、未知のものではありません。