1週間分の肌再生を週末だけでするのは不可能
クリニックを訪れる患者さんに1日の睡眠時間をたずねると「5〜6時間くらい」という答えをもっとも多く聞きます。そして、実際に彼女たちの肌を見ていると、「睡眠時間6時間が美肌を保つギリギリの線」で、6時間の睡眠がとれない日が多いと、とても肌があれるようです。
食事には気を遣っていても、睡眠についてはそれほど考えていない人が多いのですが、睡眠不足が、実はもっとも肌をあらします。食事よりもスキンケアよりも、腫眠は、肌への影響が大きいのです。
考えてみると、夜ふかしをした翌日は、1日中だるかったり頭痛がしたり、体調がとても悪くなります。
でも、ゆうべの食事がインスタントラーメンだったとしても、次の日に1日中体調が悪いなどということはありません。食事と睡眠はどちらも大切なものですが、すぐに肌や体調に影響するのは、睡眠のようです。
平日は寝不足で週末に寝だめ、という人もよくいます。からだの疲れはそれでとれたとしても、肌はやはりもちません。それは、寝ている聞にしか肌が再生しないからです。私たちが起きて活動しているときは、血液のほとんどが脳に集まります。そのため、肌に栄養はいきません。眠りにつくと血液はからだ各部ヘ流れ、肌にも栄養がいきわたります。
また、睡眠のはじめの約3時間以内に成長ホルモンが分泌され、それによって肌の奥で細胞分裂が起こります。トータルで、最低でも6時間くらいはかかりますので、睡眠が6時間を切ると、誰でも肌あれしやすくなるわけです。
肌の再生は、このように毎晩おこなわれていますので、「週末寝だめして1週間分まとめて肌を再生させる」というわけにはいきません。
毎日同じ時間に眠ることでホルモン分泌がスムーズに
ところで、「午後叩時から午前2時の間は、からだや肌にとってのゴールデンタイムだから、この時聞は寝ていないといけない」という話がよくありますが、本当のところはどうなのでしょう。
サーカディアンリズムには個人差があり!
これは、サーカディアンリズムという学説に基づく話ですが、原始時代はともかく、現代社
会で毎晩10時に寝ていたのでは、生活が成り立ちません。個人差はありますが、だいたい12時
半くらいまでに寝るようにすればよいでしょう。また、ベッドに入る時聞が日によって違うのも、体内時計を乱すのでよくありません。成長ホルモンは、体内時計の影響を受けますので、寝る時聞が違うとスムーズに分泌されなくなります。
さらに、成長ホルモンは睡眠のはじめの3時間の聞に分泌されるため、とくにこの時間の睡眠が深くて質のよいものであることも大事です。寝る1時間くらい前から部屋を暗めにすると、メラトニンというホルモンが分泌されて、睡眠が深くなるといわれます。寝る直前まで新聞やテレビを見ていて神経を刺激するのも、できれば避けましょう。
外の明かりが気になるようなら遮光カーテンを使うなど、睡眠を邪魔されない環境で眠ることも大事です。
人間は、朝日の光を目に受けてから約14時間後に睡眠に入るための準備が脳の中でおこなわれているという説です。原始時代からの人間の習性によって培わわれるリズムであるといわれますが、睡眠に関しては諸説あり、一定の見解は得られていません。